2018.11.02
大河ドラマ『麒麟がくる』で話題!
明智光秀ゆかりの町、福知山の魅力に迫る
明智光秀が主役として描かれるNHK大河ドラマ『麒麟がくる』が2020年に放送されることが決定しました。
明智光秀といえば、主君である織田信長に兵を向けた本能寺の変で有名であり、そんな人物を主役にすることで下克上の機運立ち込める戦国の世をスリリングに描いた作品になることは間違いないでしょう。
しかし、明智光秀と聞いても、逆臣としてのイメージが強く、人物像に関しては謎の多い武将ではないのでしょうか。
そこで、今回明智光秀がかつて城主として治めた、“光秀ゆかりの地”京都府福知山市を訪れ、光秀の知られざる一面を調査しました。
まずは、今回のテーマを探るうえで、大河ドラマの詳しい話をお聞きしようと、福知山市役所から産業観光課の本田和裕さんにお話をお伺いました。
本田さんはNHK大河ドラマの誘致活動を担当しており、2018年4月に明智光秀を主役とする「麒麟がくる」決定に至るまで、担当となった2015年から活動を続けていたそうです。明智光秀、娘の細川ガラシャ、盟友の細川幽斎、その息子でありガラシャの夫である細川忠興の四名の物語を大河ドラマで放送しようと、京都・兵庫・福井の自治体と連携してパンフレットで観光客向けに「明智光秀ゆかりの地」であることをPRしたり、市内の町内会へ協力の呼びかけや署名箱の設置により、26万票以上の署名を獲得しました。
26万票というたくさんの支持の要因をお聞きしたところ、「地域住民に明智光秀が愛されていること」が一番の要因ではないかとのことで、福知山市に伝わる明智光秀の名君としてのエピソードを教えてくれました。
1.由良川の築堤
明智光秀は、たびたび氾濫を起こす暴れ川として有名な、福知山城下に流れる由良川に堤防を築きました。さらに、その堤防の前面に藪を設けたことで、水流の衝撃を和らげ、人々を水害の危機から救いました。
2.地子銭(じしせん)の免除
明智光秀は福知山を栄えさせるために地子銭と呼ばれる税の免除を行い、城下町の発展に大きく貢献しました。
これらの取り組みは、現在に至る福知山の基礎を築いたとして今でも地元の人々から愛される所以となっております。
福知山市役所の本田さんは、こういった名君としての一面を『麒麟がくる』の内容に盛り込んでもらうことで、新たな光秀像を知ってもらいたいと期待を寄せていました。
また、署名が26万票集まったことに加え、福知山市では現在に至るまで光秀が愛されていることが伝わるエピソードが3つあるとのこと。詳しくご紹介します。
光秀愛されエピソード
1.募金活動による福知山城の復興
まず、最初に訪れたのは明智光秀が築城し、今でも町のシンボルとしてそびえ立つ福知山城。
今では、日本城郭協会の「続日本100名城」に京都府内で唯一選ばれるなど、名の知れた観光スポットにもなっています。中でも、天守閣は初期望楼型と呼ばれる近世初期の古い形式を採用しており、全国的にも珍しい形をしているようです。ちなみに、再建された天守は江戸時代の図面をもとに復元してあり、光秀の時代の面影は転用石が多用された石垣に見ることができます。
さて、そんな福知山城をぜひ一度目にしておきたい方も多いはず。福知山城を見る上で知っておきたいポイントをお聞きしました。
見どころ1:臥龍城のいわれを持つ城のつくり
城のある小高い丘の麓に昇龍橋という橋があります。福知山盆地の中央に突き出た丘陵の先端にあり、まるで竜が臥しているように見えることから、福知山城は臥龍城とも呼ばれており、昇龍橋という橋名もそこから名付けられています。
見どころ2:天然の石を使った石垣
福知山城天守台の石垣は、築城当時の面影を伝えています。一見乱雑に積まれたような独特の石垣は、野面積みと呼ばれる未加工の自然石を巧みに組み合わせたものなのです。また、五輪塔や石臼など「転用石」が使用されているのも特徴です。訪れた際は、是非その大小異なる自然石が織りなした石垣をご覧下さい。
そんな福知山城ですが、イベントの開催場所としても、地元の人々から親しまれているそうです。
近日開催のイベントでは、将棋界の頂上戦ともいえる『竜王戦』が11月に行われます。竜王・羽生善治さんと挑戦者の対局のほかにも一般参加できるイベントもあり、誰でも楽しめるイベントとなっているので、詳しい内容はこちらでチェックしてみましょう。
http://www.city.fukuchiyama.kyoto.jp/topics/entries/008489.html
※当日の対局はWeb動画サービスなどで視聴可。
2.明智光秀を祀っている神社がある
そして、次に紹介したいのは御霊(ごりょう)神社です。
御霊神社は光秀の死後約100年が経過した宝永2年(1705年)に、光秀公の恩に報いるために創建された、全国的にも数少ない明智光秀を祀った神社のようです。
3.盆踊りで光秀を歌っている
毎年盆の時期に踊られている「福知山踊り」を紹介します。 この踊りには明智光秀を歌った歌詞が含まれており、この地で善政を敷いた光秀を讃えています。この踊りを毎年踊ることで、後の世まで光秀の功績を伝えていこうという市民の愛情が伺えます。
福知山踊りが描かれた踊せんべい。福知山土産におすすめ。
続いて、福知山で有名なグルメを紹介します。
市役所の本田さんにお聞きしたところ、福知山は肉とスイーツの町であるとのことで、調べてみました。
1.福知山の「肉」
元々福知山には三大家畜市場があったことから肉食が盛んで、今でも福知山には焼き肉屋や精肉店、肉を扱った料理店などが数多くあります。
さて、そんな肉の町で、名物料理「鴨すき」を食べに福知山の名店「鳥名子」にお邪魔しました。
丹波・但馬地方の鴨を使った鴨肉は、湯通りの良い薄切りであるにもかかわらず、しっかりとした食感が楽しめ、噛むほどに鴨のうま味が口の中で広がります。また、葱の風味と鴨肉の油が溶け出した出汁は是非締めでも味わってほしいです。
福知山に来たら、ぜひ一度は召し上がってほしい一品です。
2.福知山のスイーツ
福知山では「丹波くり」を使ったスイーツが特におすすめとのこと。丹波くりは大粒で甘みがあり、香りがいいのが特徴でその昔、宮中や将軍へも献上されていたとされる高級品として福知山名物となっています。 福知山市内には、そんな丹波くりを使用したスイーツを販売する様々なお店があります。今回は、京都府指定文化財である大正時代の建物を店舗としている足立音衛門にお邪魔しました。
福知山土産として推奨されている栗のテリーヌ。ふるさと納税やネットでも注文できるので、栗をふんだんに使ったそのお味をぜひ確かめてみてください。
栗のミニタルトを購入しました。
一口食べて栗の甘さがストレートに伝わる一品で、外側のタルト生地のさっくりとした食感と主張しすぎない素朴な味がその栗の甘さを引き立てています。紅茶はもちろん、緑茶やほうじ茶にも合うまさに“和のスイーツ”です。
今回は大河ドラマの放送決定で盛り上がる、福知山を特集しました。
市役所の本田さんは「福知山は京都や大阪からもアクセスが良く、手ごろな価格の宿泊施設も多い。近畿観光や舞鶴の天橋立、また雲海で有名な竹田城跡を見に行く際など気軽に立ち寄ってほしい」と教えてくれました。京都駅からはJR山陰本線(特急)で1時間15分、大阪駅から福知山線(特急)で1時間30分、また神戸や東京からは直通バスも出ているようです。
実際に福知山を巡ってまいりましたが、訪れた場所や、エピソードの一つ一つから、市民の思いが感じられ、郷土愛あふれる町だと実感しました。
是非、福知山で明智光秀の知られざる一面を覗きにいってみてはいかがでしょうか。