伝統野菜を使った新商品が好評 「木之山五寸にんじん」とは?
「木之山五寸にんじん」は、愛知県が認定する「あいちの伝統野菜」の一つ。愛知県大府市木之山地区で生産され、大正時代には栽培が始まっていたと言われています。一般的なにんじんと比べて形状は先端がややとがっており、肉質はやわらかく緻密、芯まで赤みがあるのが特徴です(旬は1月~2月)。
最盛期には30件ほどの農家で栽培されてきましたが、栽培の手間暇や生産者の高齢化と後継者不足の問題などで、木之山五寸にんじんを栽培している農家は4軒のみとなっており、大変希少な品種です。
石井食品が木之山五寸にんじんを用いた最初の商品「木之山五寸にんじん まぜごはんの素」を発売したのは2017年。生活者と生産者をつなげることをテーマにした「地域と旬」の取り組みの中で、農家の方と出会い商品開発が進められました。2月に発売したハンバーグとスープはその第2弾。食材が旬の時期限定のため、残念ながらすでに販売は終了となっています。
同社に反響を聞いたところ、消費者からの反応は良く、地元の人が全国の知人・親戚への贈答用として購入するケースも増えているそうです。また、こうした伝統野菜を使った商品を開発することで、消費者が興味を持つだけでなく「商品名に品種が入ることで農家の方たちにとってモチベーションになっている」とのこと。安全・安心でおいしく、しかも珍しい食材を食べてみたいという消費者のニーズと、誇りをもって作った食材を届けたいという農家のニーズが合致し、好循環を生み出していると言えるでしょう。
同社ではこれまで、同じく愛知県大府市の伝統野菜「知多3号玉ねぎ」を使用したハンバーグや、佐賀県唐津市相知町で栽培され100年以上の歴史を持つ「相知高菜」を使用したまぜごはんの素など、希少な在来品種を使用した商品開発を進めてきました。今後も農家と連携した商品開発を進めていくとしており、希少な品種を用いた商品を目にする機会が増えそうです。
・石井食品株式会社
・あいちの伝統野菜「木之山五寸にんじん」を使用した新商品 「愛知県大府市 木之山五寸にんじんソースハンバーグ」 「愛知県大府市 木之山五寸にんじんスープ」を2月5日より全国で販売開始 (2020年2月5日、PR TIMES)
<参考記事> ・石井食品、愛知の伝統野菜「木之山五寸にんじん」使用ハンバーグ発売 「地域と生産者への貢献が目標」(2020年2月17日、食品産業新聞)
■あいちの伝統野菜について
以下の4つの条件を満たすことが条件となり、現在35品種が認定されている。
- 今から50年前には栽培されていたもの
- 地名、人名がついているものなど愛知県に由来しているもの
- 今でも種や苗があるもの
- 種や生産物が手に入るもの