石川県の郷土料理(選定料理)治部(じぶ)煮

- 江戸時代から伝わる郷土料理は、祝いの席に欠かせない -

治部煮

 農林水産省選定「農山漁村の郷土料理百選」で選ばれた石川県の郷土料理。

 鴨肉や鶏肉の切り身に小麦粉をまぶし、すだれ麩、野菜と共にだし汁で煮る椀物で、薬味にわさびを添えて食べます。片栗粉が肉のうまみを閉じ込め、汁に適度なとろみをつけます。

 発祥には諸説あり、能登や加賀の山里で捕獲した野鳥を食用にする習慣からうまれたという説や加賀藩にいた宣教師が考案したという説、豊臣秀吉配下の岡部治部衛門(じぶえもん)が考案しその名が付いたという説などがあります。江戸時代から作られており、庶民をはじめ多くの人たちが食べていました。

 タケノコやレンコンなどの加賀野菜を材料とする治部煮は、四季折々の旬を楽しめる石川県の郷土料理として全国的に知られています。現在では、結婚式などの祝いの膳には欠かせない椀物です。


治部煮のレシピ

 分量:4人前
鶏もも肉240g
しいたけ4個
ほうれん草2/3束
お麩適量
小麦粉
(もしくは片栗粉)
適量
わさび適量
【A】
出汁300cc
砂糖大さじ1と1/2
みりん大さじ1と1/2
濃口醤油大さじ3
1.
鶏肉をひと口大の大きさに切り、小麦粉をまぶす。
しいたけは石づきの部分を切り落とし、少し切り込みを入れる。
ほうれん草は塩茹でして水にとり、水気をしぼって5cm程の長さに切る。
お麩は水で戻して水気をしぼる。
2.
鍋に【A】を入れ、煮立ったら弱火~中火にして鶏肉を重ねないように入れる。
3.
鶏肉に火が通ってきたら、しいたけ、お麩を入れ、全てに火が通ったらほうれん草を加え煮汁をからめる。
4.
煮汁が少ない場合は、片栗粉でとろみをつける。具材を器に盛り付け、煮汁を注ぎ、わさびを添えて、完成。
調理のコツ
鶏肉に粉をまぶす時、余分な粉は十分にはたき落としてください。 煮立たせ過ぎると、味が濃くなり鶏肉も硬くなってしまうので気をつけてください。 市販のめんつゆでも簡単に作ることができます。
料理長 清水賢次